今日は月曜日。カズ君の介護の日である。
毎週、カズ君に会うのを
とても楽しみにしている。
憩いの時間だ。
カズ君とはいつも
「とことこの家」
という俺が働いているところの事務所で、
野球をやったりするのだが、
先週、
「来週は可児さんとカラオケに行きたい」
とカズ君が言っていたので、
言ってきた。
カズ君はしゃべれないのである。
では、どうやってカラオケを歌うのか。
「ウゴウゴウゴ」
と歌うのである。
ところが、これ、
凄いんです。
カズ君はもの凄く音感とリズム感が良く、
記憶力が凄いから、
今日は、プロ野球の応援歌を片っ端から入れていったのだが、
それを全て
「ウゴウゴウゴ」
で歌いきってしまうのだ。
1曲終わる度に、
マイクを置き、
また曲が始まったらマイクを手に取り熱唱。
1時間半、カズ君は歌いっぱなしだった。
唯一、一緒に歌った曲がある。
STAND WAVEの
「優しくありたい」
カラオケに入っている、という情報をもらっていたので
DAMで調べていみると、本当に入っていたよ。
感動して写真をパチリ。
今日は楽しい一日だった。
バスの最後部の座席の窓側。
彼は右に、俺は左に座っている。
彼は膝の上に、
大きな紙袋とビニール袋を3つ抱えている。
その中には、
空になったペットボトルや、
雑誌や新聞が沢山詰め込んである。
そして外をみながら、ぶつぶつ口を動かしていた。
俺はヘッドフォンで音楽を聴いていたので、
それを外して、彼が言う言葉に耳を傾けた。
「次は河田町 次は河田町」
と言っていた。
週に1回ほど、あやちゃんが入院する病院に面会に行っている。
その病院までは駅からバスである。
前回、面会に行ったときに、
その青年に出会った。
そして同じ、病院前のバス停で降りた。
降りるときに、その青年の紙袋から
1つの空のペットボトルが落ちた。
俺が拾って渡すと、軽く頭を下げて、
トットット、と足早にバスを降りていったのだ。
彼がいわゆる知的障害を持っている、
ということは、すぐに分かった。
今日、再び、バスの最後部の座席で彼に出会ったので、
興味を持って彼を見ていた。
病院に入院する親がいて、その親にペットボトルや雑誌を差し入れするのかな、
などと想像していた。
途中、若いお母さんと小さな男の子が乗ってきて、
彼と俺の間に座った。
彼はニコニコしながら子どもを見ている。
きっと子どもが大好きなのである。
そして話しかけ始めた。
「次は戸山町だよ、次は戸山町だよ」
何度となく繰り返していると、
苦笑いしながらお母さんが子どもを反対側に座らせた。
彼は少し淋しそうな顔をして、窓の外に目を向けた。
そして、病院前に着いた。
俺は、彼がどこにいくのだろうかと、
彼の後をついていくことにした。
バス停を降りると、
彼は、スタスタと歩いていく。
そして、停留所で誘導をしているおじさんと軽い会話をして、
反対行きのバス停のベンチに座った。
顔なじみなのである。
ちょうど反対行きのバスが止まっていて、
みんなバスに乗り始めている。
しかし、彼は、ずっとベンチに座っている。
反対行きのバスは発車した。
すると、こんどは、違うバスの職員さんが彼に近づき、
彼の紙袋に、丸い筒状の紙のようなモノを入れた。
彼は深く頭を下げて、
すぐに来た次のバスに1番に乗り、
最後部の座席の窓側に座った。
そしてバスは行ってしまった。
彼は、バスの定期券を持っているようで、
駅と病院の間のバスを1日に何往復もして、
バスからの景色や、車掌さんの声を楽しんでいた。
これも素敵な休日の過ごし方である。
今度また、彼に会えたら、
話しかけてみたい。
友達になれるかな・・・。