STAND WAVE ナミキの戯言
ネイチャーヒップホップグループ「STAND WAVE」のリーダー、ナミキのコラム
カズ君の悲しい笑顔
d5e2130c.jpg「ねえ、今週はタキちゃんこないの?」

「じゃあ来週は?来週は来るの?」

月曜日のカズ君の介護の日、
カズ君は、何度も聞いてきた。

「タキちゃん」とは、
写真を撮っている女性で、
カズ君の写真を撮りたいと、
3週間に渡って、
俺のカズ君の介護に同行した。

タキちゃんは、カズ君にとても優しく、
またカズ君好みの髪の毛が長い人だ。
だからカズ君は、
タキちゃんを見る度に
「かわいい」
と言いながら大笑いしていた。
とても幸せそうだった。

そのタキちゃんは、
だいたい写真を一通り撮りおわったので、
介護に同行することがなくなった。

「カズ君、今日はタキちゃんはもう来ないんだよ」

と言うと、
ボーゼンと、きょとんとした顔でカズ君が固まっている。
そして、また

「来週は来るの?」

と聞いてくる。

俺は、どう説明をしていいのか分からなかったので、
ちゃんと本当のことを話すことにした。

「カズ君。タキちゃんは、もうカズ君写真を撮り終わったから、
 ずっと一緒にはこないんだよ」

すると、
少しキョロキョロした後、
俺のひざに手をおいて

「じゃあ、来週は可児さんは来るの?」

と心配そうな顔で聞いてきた。
だから、俺はカズ君を思いっきり抱きしめながら、

「俺はどこにもいかないよ。ずっとそばにいるからね」

と伝えた。
すると、カズ君は
ゲラゲラ笑いながら

「野球をやろう」

と言ってきた。


カズ君は小さい頃から障害者の施設で生活している。
施設では、職員の入れ替わりが頻繁に行われる。
せっかく仲良くなった職員の人も、
様々な事情で離れていってしまう。

そんな環境で育ってきたカズ君は、
切り替えがもの凄く早い。
というか、切り替えなければやっていけなかったのだ。

だから、今回も、
タキちゃんがダメだと分かると、
すぐに切り替えて、
サイゼリアの店員さんが、
髪の毛が長くてかわいい、
と言っていたりする。

その時の、カズ君の悲しい笑顔に
胸がキュウっとしたりする。


俺は、カズ君を親友だと思っている。
なんらかの事情で
少し疎遠になるときがあるかもしれないが、
ずっとカズ君のことを思っていきたい。

カズ君の悲しい笑顔が印象的な初冬のある日だった。



追伸:
カズ君の写真等は、俺の働いている「とことこの家」のホームページへどうぞ。
http://www2.ttcn.ne.jp/~tokotoko/gal.html
「読売新聞」に載りますた
58a42305.jpg今日の読売新聞埼玉版に
僕こと、可児波起の記事が掲載されました。

埼玉近辺の方は、ぜひ見てみて下さい。

ちなみに、
今日はこれから
あやちゃんの第2回目レコーディングです。

その様子はのちほど。
介護ラッパー?
9月13日に
「優しき介護ラッパー」
ということで、
フジテレビのスーパーニュース「スーパー特報」
で、
可児波起こと、僕が紹介された。
18分間に、
普段の日常生活、介護、パニック障害、音楽など
が凝縮された内容になっていた。


それから、2ヶ月。
昨日、そして今日、と
「テレビ見ました」
と言われた。
握手もしてサインなんかもした。


俺は2ヶ月前に見たテレビが、
どんなのだったかは、
ほとんど覚えていない。

だから、
2ヶ月も経ったのに
覚えてくれている、
ということは、
とても光栄である。

視聴率が10%だったら、
10人に1人は見ている訳だ。

やっぱりテレビって凄い。


今日は、
「GET YOUR DREAM」
というイベントに参加してきた。
病床の子どもたちに
5才程度の会話が出来る
「イフボット」というロボットを送るための
チャリティーイベントだ。

全国各地から
下は小学1年生、
上は20代後半まで、
計10組以上のダンスチームが出場した。

その最後に
STAND WAVEとして、
俺一人と、
翔ちゃん基金の発起人でもある、
翔ちゃんのお姉ちゃんを中心としたダンスチームのみんな
計6人で、
STAND WAVEの歌を歌ってきた。

みんなラップの部分まで覚えていてくれて、
全部一緒に歌えた。
本当に音楽は凄い!
大きな充実感を持って一日を終えた。

そのライブで、
見ていてくれている人たちに、
「命」
ということについて話をした。

白血病で14才で亡くなった翔ちゃん。
現在25才で、難病と闘病中のアヤちゃん。

生きて生きて生き抜こうとしている人がいる。

テレビなどのメディアがあおりすぎるから、
負の連鎖で、
自殺する子どもたちが増えている。

僕らは、
自分の意志で髪の毛1本も
黒から白にすることが出来ない。
自分の意志で止めたくても、心臓は止められない。

僕らは
「生かされている」
のである。

どうしても届けなければならないメッセージである。

どうか生きて欲しい。
どうか、
暗闇の中に、少しでも光を見つけて欲しい。

そして俺は人生をかけて、
その小さくもしっかりとした光になりたい。
1人ライブ
10月に、STAND WAVEの女性ボーカルが入れ替わった。
その際に、決まっていたライブをキャンセルしたのだが、
俺一人でもいいから出て欲しい、
といくつかのライブで出演を依頼された。

3人でSTAND WAVE、
という中、
俺一人で何が出来るのだろうか?

あれこれ考えてみたが、
もう腹をくくって、
全パート自分で歌ってしまおう、
と決意した。

そして、
1人で全部歌えそうな曲、
「翔る」
「大樹」
「one day」
を一人で練習した。

現在、
新メンバーのもと、
練習をしているが、
まだライブを出来る状況ではない。
なので、12月16日までは
「1人ライブ」
をする。


現在、
「翔ちゃん基金」
http://www.shochan-kikin.jp/
のチャリティーイベントに、
毎月参加している。

STAND WAVEの
「翔る」
という曲は、
木田翔太君、翔ちゃん基金のために書き下ろした曲だ。

先月、そのイベントで一人ライブをすることになった。

すると、
そのチャリティーイベントに参加している、
小学生から高校生までの
ダンスチームの女の子達が、
STAND WAVEの曲を全部覚えてくれて、
俺が一人でステージに立つと、
その後ろに10人くらい立って、
一緒に歌ってくれた。

なんだか、
一人でステージで胸が熱くなった。

それも
若い声での「翔る」の合唱は、
身震いがするほど、素晴らしかった。

明日は、
新宿@RUINS23
でまた、
翔ちゃん基金のチャリティーライブに参加してくる。
最後にみんなで「翔る」を歌うとことになっている。


また、
今、この「翔る」の歌詞に手話をつけていて、
12月9日に戸田のサティで行われる、
チャリティーライブには、
みんなで手話付きで
「翔る」
を歌う。


やっぱり音楽って凄いな。
こうして人の輪が音楽で繋がると凄い。

明日もきっと素敵な一日になる。
カズ君と幸せな時間
66c5e00b.jpg「幸せ」


なんだかこの言葉だけが一人歩きしているような感じがする。
ずっと、自分の夢が叶ったりすれば幸せになれると思っていた。

「幸せ」は「なる」もの。

「幸せになりたい」

この1年で沢山の夢が叶った。
CDが全国発売され、
沢山のテレビ、ラジオ、新聞にも取り上げられ、
「テレビに出てた人でしょ」
って声を掛けられ、有名人気分。

毎日のように、携帯に電話が来て、
つぎつぎにいろんな事が決まっていく。

パニック障害直後に、
3日間全く携帯が鳴らず、
「俺は本当に一人だ」
と悲観していた。

それが、今では毎日何かに追われている。


あのころ描いていた場所にいる、状況になっている。


でも、
「あやちゃんプロジェクト」で
あやちゃんの「ちから」という歌が着うたになったとき、
なんだか一番嬉しかったような気がした。

俺はどうやら、自分がどこまで来たか、
ということより、
どれだけ人のために出来たか、
ということで幸せを感じるようだ。


今日は月曜日。
カズ君の介護の日である。

ここ3週間、
カズ君の写真を撮る、
ということで、タキちゃんという女性の方が、
俺とカズ君の介護に密着して、
かずくんの写真を沢山撮っている。

タキちゃんはカズ君にとても優しく、
カズ君好みの髪の毛が長い人である。

だから、カズ君は、
毎週、今までにないくらいテンションが高く、
笑いっぱなしである。

そして
「タキちゃんかわいい」
と言っては、大笑いしている。

そんなカズ君の肩に手を置いて、
彼の幸せを一緒に感じていると、
俺の心も温かくなってくる。

とても「幸せな時間」だ。

「幸せ」は分けてもらえるものだったりする。

今日は幸せな1日だった。
また会えたのに・・・
今日は日曜日。
あやちゃんに面会に行くために、
駅からバスに乗った。

一番後ろの席の窓側。

彼はいた。

2週間前に出会った彼だ。
今日も両手いっぱいに袋を持っている。

俺は、前回と同じように一番後ろの彼の反対側の
窓側に座った。

そして、
決して、偏見ではない、
精一杯の優しい眼差しで彼を見ていた。

彼の持っている袋には、
新聞や雑誌、空のペットボトルが沢山入っている。

これをどうするのかが知りたくて、
ずっと彼を見ていた。
彼はときどきこちらを見て、
すぐに窓の外に目をやる。

そんな仕草が、とても愛おしかった。

次で終点の病院前だ。

降りたら話しかけようと思っていた。

すると・・・

かれは一つ前のバス停で、
ボタンを押して、
そそくさと降りていってしまった。

俺は、どうしようか迷ったが、
降りずに、窓の外の彼を見ていた。

彼は、どこかへ向かうようにスタスタと歩き、
遠ざかっていった。

「また会えるよね」

今度は、バスの中で話しかけるね。